孤独な異端者の夢想
(前回のつづき)ニュートンの聖書研究はかれこれ50年の長きにわたり、書き残した文書は4500枚にものぼる。それらの遺稿のほとんどはニュートンの死後200年以上封印されていたが、経済学者ケインズによって買い取られ、最終的にエルサレムの国立図書館に保管された。
1997年、カナダのニュートン研究家スティーブン・スノベレン博士が、半ばうち捨てられたこれらの文書を整理していたところ、世界終末の年を示すメモが見つかったのだという。
ニュートンの予言が正しければ、人類は2060年に滅亡する。
まあ、私には関係ないけど、そんな先のことは。
しかし、ニュートンの聖書研究の解明がいままで進んでいなかったのはなぜなのだろうか。ひとつには、注目に値せずと評価されていたこと、もうひとつは、ニュートンが異端者であったからだろう。
そう、実は、ニュートンは、当時の教会からすると異端だった。正統とされていた「三位一体説」を否定するアリウス派に属していたからである。もちろん、ニュートンは、それを公にすることはなかった。
だから、ニュートンの聖書研究は生前には1冊も発行されていない。死後になって、『ダニエル書における預言と聖ヨハネの黙示録(Observations Upon the Prophecies of Daniel and the Apocalypse of St. John. )』などが刊行されたのみだ。
ところで、ニュートンは何の根拠があって、ハルマゲドンの年を2060年と解読したのか。スティーブン・スノベレン博士によると、ニュートンは次のように読み解いたようだ。
「ダニエル書」の第12章7節に、「それは、ひと時とふた時と半時である」との一節がある。これをニュートンは、「1年と2年と半年」と解釈した。合計で3年半だ。月に直すと42か月である。さらに日に換算すると1260日(一月を30日として)になる。それを裏付けるかのように、「ヨハネの黙示録」の第11章3節、第12章6節に1260日という記述が見える。ニュートンは、1260日を1260年であると読みかえた。
そして、この1260を、ニュートンが教会の背信行為がはじまった年と考える西暦800年に加えて2060年という年を割り出した。
意外と単純かも。
おそらく、ニュートンは異端者として、当時の腐敗した(とニュートンは考えた)教会に支配された世界から解放される日を夢想していたのだろう。
「ダニエル書」も「ヨハネの黙示録」も、ともに黙示文学と呼ばれる。前者は預言者ダニエルによる夢解釈と与えられた啓示が核となっており、後者は見者ヨハネが天啓で得た、悪夢のようなビジョンで覆われている。そして、両者とも世界終末のシミュレーションであるのが共通している。
黙示文学は、主に、ユダヤ民族、あるいはキリスト教徒が激しく迫害を受けていた時期に編集された文書だ。
そのため、とくに「ヨハネの黙示録」に顕著だが、右手に七つの星を持つ者、七つの金の燭台、七つの封印など、さまざまなメタファー(隠喩)、シンボル、コードが駆使されている。
これは、「当局」に知られないために仲間内だけで通じるよう編集されているからだ。そして、現体制の崩壊と、千年王国到来への希求が慎重に織り込まれている。
D・H・ロレンスは、『黙示録論』(邦題『現代人は愛しうるか』中公文庫)において、アポカリプス(ヨハネの黙示録)を、キリスト教徒の、対国家、対世界への狂気のような敵意に満ちた書と喝破している。
また、「ヨハネの黙示録」は「7」という聖数が重要な意味を含んでいる。ニュートンの導きだした1260も7の倍数である。旧約聖書でも、聖数7はいたるところに顔をだす。
聖書をマジックナンバーによって読み解くのもおもしろいだろう。
さて、最後に気分転換として少しばかり視覚編集を。
前回紹介した「運動残効」の一種と思われるが、ちょっと劇的な効果がある画をご覧いただきます。
下記ページには2つのボタンがありますので、どちらでもいいですからクリックしていって、3ページ目の「GO!!」をクリックしてください。
ぐるぐるぐるぐる
15~20秒ほど、真ん中の点を凝視して、そのまま文字や隣の人の顔を見てください。
乗り物酔いしやすい人は気をつけてね! では!






