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2006年02月09日

マイナスの空洞にできる形との出会い

大学に入るときも「土」が気になっていて、結果的に彫金を専攻したんです。鋳物というのは、土をこねて、それで型をつくって、その型に土をかぶせて型を抜いて、それでその空洞に溶けた金属を流し込む。型を割って、それで削ってつくるという作業です。「形」は、土をこねることによってできてくる。原点はそこにあるんじゃないかと考えています。 型があって、その型にあわせてマイナスの空洞に物体ができあがる。この「マイナスのところ」に、えも言われぬ「形」ができていく。彫刻などはプラス面で「形」をつくってやるということになるんですが、鋳金というのは、抜いた空洞につくる型になるわけです。それを削ったり、タガネで削って、ヤスリでこすってつくる。そういう型というものの原型が金属と出会う。その中にはさまざまな型づくりの職人の技があるわけです。

そんなことをやっていた私が、なぜかオートバイのデザイナーになるんですが、オートバイというのは非常に面白い。まずエンジンがあって、これが鋳物でつくる型になっている。ギアがあって、回転がある。連動しながらシャフトが上下する。そしてシリンダーを動かして、できあがった空洞に火が入る。そうすると、それがストンストンと回るわけです。金属と空洞でできたところに、エネルギーが入って、そして回転しながらチェーンでギアを回して、そしてタイヤを動かして、走っていく。オートバイはライダーの体がむき出しになっていて、それがオートバイに抱きついて、しがみついている。そして、体を揺らしながら、バンクさせて走る。

土と人間とエネルギーのかたまりのエンジンが、人機一体となって、そして空間の中の、風の中をスピードをかけて上下させながら、そして遠心力をかけて、コーナーを回る。ブレーキをかけたら、ギュッと止まる。バーッと体が前へ持っていかれますよね。時には空間を飛んだりする。そのときには、人間とマシンが一体となって生まれる一つの喜びがある。これは面白い。

2006年02月01日

原点は自然―瀬戸内海、山、野良仕事、祭り、土

これから「形態」つまり「構造を見つける」というテーマでこのブログをスタートさせていくわけですが、まずは、デザイナーとしての私の原点がどこにあったか。そのあたりからお話ししていこうかと思います。

私のデザインは生物、あるいは「生き物」が原点にあるんです。自然が持っている形というもの、不思議さ、面白さ、というものが基本になってます。

私は韓国生まれです。親父が鉄道の測量技師だったので、いろんな地方の工事をやることになります。それでいろんなところに転勤するんですね。その転勤先の韓国の京城で生まれ、幼少をそこで過ごし、終戦とともに日本に、まあ、帰ってきたというわけです。

瀬戸内海を渡って帰って、四国の小さな港町がありまして、そこから1里つまり4キロくらい山に入ったところで育ったんです。そこで、田舎の自然に触れながら、爺さんや婆さんに、いろんな作業を教えてもらって育ちました。イヤだなと思いながらね
(笑)、小学校に入学して、釣りをしたり、木に登ったり、木の実を食べたり、自然の中で生活した。それから、村祭りなども楽しみでした。伊予漫才の子役で踊らされたりなんてこともありましたね。僕は、人気役者だったですよ(笑)。そんなことで、可愛がられて育ってきたわけです。

自然がベースにある野良仕事をやっていくことで自然に身に付けていくものって色々あるんですが、今考えると、そういったものが、行く行くはデザイナーになる自分にとってはずいぶん貴重だったような気がします。原点はそういう瀬戸内海、海、山、野良仕事、祭り、それとやはり「土」ですね。


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