様々な制度や方法論が行き詰っている。やみくもに前に進んでいればそれなりにつじつまが合う時代は過ぎ去った。
時代は「編集」を求めている。
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☆■収集(分けると分かる) 収集・選択・分類・流派・系統 H■焦点(ニュースにする) 焦点・報道・統御
A■編定(縮めて伝える) 編定・要約・凝縮・翻訳・結合 I■境界(区切りを変える) 境界・場面
B■原型(型にして見る) 原型・模型・適合・列挙・配置・意匠・装飾・図解 J■周期(リズムをつける) 周期・曲節
C■順番(繋げて較べる) 順番・規則・交換・競合・比較・共鳴 K■諧謔(おおげさにする) 歪曲・不調・輪郭・諧謔
D■暗示(含みを持たせる) 暗示・相似・擬態・象徴 L■形態(構造を見つける) 構造・形態・生態
E■引用(盗んで補う) 比喩・推理・引用・例示・補償 M■劇化(物語で遊ぶ) 筋道・脚本・劇化・遊戯
F■注釈(付け加える) 注釈・付加・削除・拉致・保留・代行 N■綜合(みんなまとめる) 総合・創造
G■模擬(測って調べる) 模擬・測度・強調・変容 △■編集思考素

2006年02月21日

【64編集技法コラム】編集思考素

 編集を駆動する方法の型が編集思考素です。これらは型を持ったデフォルト(情報の宿、情報を待つ空欄)であり、意味の発生装置です。三間連結型、三位一体型、二点分岐型、一種合成型、二軸四方型の五種の型があり、これらを組み合わせて用いると、これまで述べてきた編集を駆動することができます。
 三間連結型は時間・空間の推移に従って、3つの情報を等間隔に配置する方法。この三間連結によって事態の推移の意味が現れてきます。
 三位一体型は正三角形の頂点に不明な概念や事象の特性を配置して、それらを規定する方法で、応用例としてはキリスト教の神を規定した三位一体が有名です。
 二点分岐型はある概念や事象を2つの特性的な概念や事象に分岐させる方法で、意味の構造が腑分けされます。一種合成型は2つの概念や事象から1つの概念や事象を形成する方法。これは大部分の新語や新製品の発明法です。
 最後の二軸四方型は2つのベクトルを十字型に組み合わせたマトリックス。ここから2つの編集が発生します。第1の編集はこのマトリックス上に新たな意味を帯びた動転が発生することにあり、例えば距離と時間というマトリックスから新たな速度という動点が出現します。
 第2の編集は4つの象限に意味が発生することにあり、プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスなどに用いられています。これらの編集思考素を複合的に用いることで、編集的世界像を構築することができるのです。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-63】総合(みんなまとめる)

 さて、以上の14の編集の階梯をすべてを組み合わせると、世界の部分が集合して全体の秩序を形成しながら、その形成されてきた秩序に合わせて部分がネットワークされ、共鳴しあう自発的な相互編集型のダイナミックな世界像が編集されてきます。それは情報の歴史の集大成であり、宇宙史・生命史・思索史を包括する体系をなしているでしょう。
 このような総合に向かう編集のプロセス以外に、一滴の創造が可能かもしれません。音声が言葉に変わる瞬間、無秩序なドローイングが輪郭を形成する刹那、自然界から自律した系としての機械が出現した途端、創造が作用したというべきなのでしょう。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-56】劇化(物語で遊ぶ)

 ダイナミック(動的)な世界構造が編集されると、その中をめぐる通路や時間経過や移動によってさまざまな遭遇を設定し、物語化することができます。
 そこには世界を俯瞰的に眺めるリーディングエンジンであり、語り部のオムニシエントな視野と登場人物の当座の眼差しや心理がとらえるオムニプレゼントな世界を駆動するディテールエンジンの両面が交互に作動して動的世界における物語編集がおこります。その骨格に筋道の編集があり、そこにフィールドを設定し、さまざまな情報のファイルを用意してレコードを取出し供給しながら出力するスクリプトを形成し、語り部を決めて作話状態のモードを定め、配役を決定して劇的世界を編集します。
 こうした物語は遊戯化をはらみ、ゲームや言葉遊びなどを発生させます。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-48】 形態(構造を見つける)

 以上の12の編集を集約して、世界・事象・事物の構造が明らかになってきます。これらの構造を背後で作動させるシステムには多様なものがあり、生命システム・記憶システム・ネットワークシステムからビジネスシステム・危機管理システム・評価システムなどまで、多様なシステムが切り出され、そこに構造を維持するインフラストラクチャー(基盤)が編集されます。
 これらの多様な構造とシステムの共通性を取り出すフォーム(形態)が編集されると、フォーミュラー(規格)が定められ、規格された働きを組み合わせるフォーメーションが構成されます。
 さらにこれらのスタティック(静的)な構造編集を超えて、ダイナミック(動的)な生きた状態をそのまま把握する生態の編集やモードの編集に及びます。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-38】諧謔(おおげさにする)

 自然界のリズムは安定しているようでいて、予測が不可能な乱調をおこします。「美は乱調にあり」というように、それは人間を覚醒させ、いわば超自然的な崇高を感じさせることもあります。そこには調子を狂わせたり、ミスマッチをわざと作り出す編集や錯覚・誤解・変節を利用したトリックの編集があり、冗談やユーモア、軽口や音曲の地口、コントやパロディなどの諧謔の編集もひそんでるのです。
 このような諧謔の背後には特徴的な輪郭の析出、対象の特異な変化を取り出すプロフィール化、さらにその一部をおおげさに強調したカルカチュアライズなどの編集技法がはたらいています。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-61】周期(リズムをつける)

 われわれは心臓の鼓動や呼吸、春夏秋冬や生老病死といったリズム、周期に生きています。ここから、起承転結、序破急といった文章の展開のパターンが発生し、多様な拍子や音頭が編集され、そこに強い拍子、弱い拍子を自在にあやつり、アクセントを移動するシンコペーションの技法も生まれてきます。
 さらに、音や音声に節や旋律を付けた歌語りなどが編集され、さまざまな楽器の発達とともに、音の諧調が定められ、作曲が可能になります。
 さまざまな周期を取り出し、それにあわせて音や音声、現象の記述を編集するのが周期の編集です。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-23】境界(区切りを変える)

 空間や時間を区切り、境界を設ける編集です。これによって領域が設定され、その内部の多様な層や入り組んだ構造を析出することができます。
 オーソドックスには世界、大陸、海洋、国、県、市、町と領域ごとに設定される地図編集があり、鉄道・土地利用から人口、生産額などのテーマ別の地図や時代を追って推移する歴史地図から物語などのベースとなる空想世界の地図まで、多くの地図化が可能です。あるいは百貨店やイベントスペース、公園などの設計・設営でのゾーニングの編集があります。
 さらに時空を切り出すシーンの編集は、場面の切り出し、舞台設定、カメラのアングルの設定などを可能にします。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-50】焦点(ニュースにする)

 焦点とは、レンズに入ってきた光線がレンズにより屈折されて像を結ぶ点のことです。それは、情報を絞り込み、一点に注意を集中し、注目させる編集です。今日の焦点といえば、1日におこったさまざまな事態、出来事のいくつかにスポットライトを当ててニュース化して見せることであり、情報に逐一性を与え、速報することです。そこでは、統括化し、アクシスをつくってまとめあげたり、一言で全体像がわかる題名をつけたりする編集がなされます。1つのアクシスにそって、さまざまな現象やジャンルをまたいで編集するシリーズなども形成されてきます。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-41】模擬(測って調べる)

 模擬は模擬試験というように、本番の手前で本番を模して行うリハーサルのことです。それは前もって情報の一端を見せる見出しや一部を強調して開示する強調や誇張、現状や未来の傾向を述べて説得しようとするくどきや祭祀の予祝や卜占などがあります。このような予測される情報の推移のパターンを析出して動的な推移をモデル化するのがシミュレーションです。
 シミュレーションには時間、空間、温度をはじめ、多くの測度(メトリック)を用います。例えば分析というプロセスでは近接度、迂回度、歪曲度など、曖昧さを測るプロセスではファジイ測度、確率測度、可能性測度などが用いられるように、対象に応じてさまざまな測度の編集が必要です。その測度の定め方によって、デフォルメや変形、メタモルフォーゼ(変容)などの編集が可能になります。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-26】 注釈(付け加える)

 情報にはさまざまな注釈が付いています。注釈とは語句の意味や用法を解説したり、補足的な説明を加えて理解を助け、誤解を防ぐことを基本にしながら、語義を深化させ、多くの知識を結集する編集法です。そこには情報の付加とともに削除がおこり、あるいは付加情報を別なところに移しておいて、そこに特別な意味を発生させたり、思想や学術を発生させたりもします。
 中国の儒教・仏教・詩・史、インドのヴェーダ、イスラムのクルアーン、キリスト教のカバラや新プラトン主義などの注釈体系は、新たな発想のムーブメントを喚起しつづけました。
 注釈は法律の適応範囲や機械や素材、商品などの特性や会計の数字の注釈などの多岐に及び、注釈に通じて代行する代議士・弁護士・会計士・弁理士・各種代理店などのエージェント集団の編集技術も派生させているのです。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-27】引用(盗んで補う)

 過去の情報を有効に活用し、組み立てて新たな情報系をつくりあげたり、物事の理解のために用いる編集技術が「引用」です。
 多くの引用が近代に盗作とか剽窃(ひょうせつ)として禁じられていますが、日本の文芸の中核をなす「本歌取り」などの編集法を無視するわけにはいきません。それは先例や事例ともなって、事態の進行を方針づける役割も果たし、推論や理由づけの根拠ともなり、多くのメタファー(隠喩)や見立てを成り立たせます。
 たとえばパソコンを起動して最初に表示される画面はヨーロッパ型の「机の上」を画面上に例えたデスクトップメタファーです。このメタファーを舞台や庭園にすると、情報の組み立て方がすっかり変化するでしょう。このような情報の引用性は情報を補い、理解を援助するあらゆる情報技術を発生させているのです。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-29】暗示(含みを持たせる)

 われわれのまわりは暗示情報に満ちています。白鳥のような人という表現は、白鳥がギリシア神話のレダや中国の天女であることを暗示することで、痩身で色白の美しい女性を想起させます。寿司屋では「さーい」、「とーし」といった言葉が飛び交います。それは「さてもおもしろい」を1から9の数字に当てはめた符丁で、「さーい」は19、「とーし」は37。これらを上手に使って、お客にさとられないように数字を伝えます。
 このような暗示の編集は似たような情報を集め、類似化を進め、カテゴリー(範疇)を形成します。ある範疇が常態化すると、それに似せた擬態や偽物が生じるとともに、カテゴリーの共通性を代表するシンボルやそれを表示するアイコンが働きます。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-12】順番(繋げて較べる)

 情報には順序が決まっているものがあります。123の数字の並び、あいうえお、月火水の曜日の順序も決まっています。この決まった順序に合わせて多くの情報をまとめることができます。
 さらに情報は順序によって変化します。ディナーでメインディシュの後にスイーツが出るとおいしいですが、逆ではまずく感じます。そこで一斉に料理を出して食べる人が順番を付けて食べるルール(本膳)と料理人が順序を決めて料理を運んで来るルール(懐石)が生まれます。
 このように情報の入れ替えや交換が情報の価値や内容を変化させ、ルールの変更を起こします。順序を形成しつつある情報は順列にふさわしい情報を引き込み、繋げ較べながら、意味のネットワークを形成していきます。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-09】原型(型にして見る)

 私たちはいつも情報の型(タイプ)の編集をいつも気にしています。エルメス、ヴィトン、シャネルなどのブランドによって着る人のタイプが発信され、カラス族、アーバンライフ族、渋谷のシブカジ、上海の月光族なども情報の型によって生き方を主張しています。
 おめでたい色や模様を一斉に連ね、配列し、組み合わせてお祭の図柄や意匠、装飾をつくるのも、同質の情報を合わせたり、対称的なタイプの情報を拮抗させて楽しむ花札やトランプも型の編集です。
 情報の型を用いて、伝説や事物の展開を図示したり、図説化することは古くから行われ、フローチャートやアクセスマップ、挿絵などにもなっています。陰陽や五色、五行から宇宙模型やマンダラまで、情報の型にはイメージの大元に当たる「原型」が潜んでいて、それが現代的な型となって現れることも少なくないのです。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-06】編定(縮めて伝える)

 編集の基礎に情報の圧縮があります。われわれは、昨日おこったことを誰かに伝えるとき、おこった時間と同じ時間を使って細かく説明することはないでしょう。必ず数分に情報を圧縮して伝えます。
 このように、われわれはいつも情報をまとめ、短縮し濃縮して伝えています。さらには、他の文法の言語に移したり、移り変わっておこるを出来事を山場ごとに分け、それぞれを情報圧縮して連結したオムニバスにして伝えることもあります。
 これらの情報圧縮、情報の移し替えを「編定」といいます。「編定」は複雑な記述を、できるだけ意味を崩さないように内容を正確に端的に伝えるための編集で、代表的には法律の条文や契約の条項などがあります。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

【64編集技法コラム-01】収集(分けると分かる)

 編集は情報の収集にはじまります。収集された情報を順列を付け、分類して、それらを簡便に出し入れできるように配列することを編纂(へんさん)といいます。
 編纂では、いわゆる「データ」を扱い、整理します。データとは伝達、解釈、処理などに適するように形式化、符号化された静的な情報であり、再度、解釈できるように基本的な定義を与えられた情報です。
 代表的なデータ情報として、辞書や辞典の項目や山の高さ、人口、男女比、売上高などの数値情報などがあります。これらを集め、選び、分けて、流れや系統を整えると、それぞれのデータの繋がりや位置づけを理解し説明できます。ここに「分かる」という状態が成立します。ここから、編集(edit)の段階に入ります。

(64編集技法解説: 編集学校師範 高橋秀元)

編集術のオンパレード!―講談社新書『知の編集術』より

では、次の怖るべき一覧表を見ていただきたい。
これは編集工学研究所がつくっている「六四編集技法の一覧」というものである。合計六四にのぼる技法アイテムがずらりと並んでいる。親コードが三〇、子コードはそれぞれ二~六になっている。
ざっとこれだけ編集技法があるわけである。まことに多い。細かくすればもっと多くもなるのだが、わざと六四にとどめてある。合計が六四になっているのは「8×8」の易の八卦のようでわかりやすいからだ(ちなみに易はライプニッツが二進法を研究したきっかけになっている)。
しかし、この編集技法は、すでに何度も述べてきたように、われわれが日常生活でやっていたり、いつもお目にかかっているものばかりなのである。ところが、それが研究されてこなかった。この一覧はそれをわかりやすく分類し、いくぶん系統化してみたものだ。まずはじっくり眺めてほしい。

◎六四編集技法の一覧

編纂(compile)‥‥‥[dataを扱う基本技法]
(単立した情報に内属する定義を一項目ごとに対応づけて編集するために)

 01収集(collect)‥種類を限定して広く集めること
 02選択(sellect)‥収集された情報から一部を引き出すこと
 03分類(classify)‥あるフレームにもとづいて階層的に分類すること
 04流派(party)‥目的や属性に応じてグルーピングすること
 05系統(taxonomy)‥系譜、系列、系統などを整えること

編集(edit)‥‥‥[captaを扱う応用技法]
(つながった情報がもつ意味の背景・含意・流れを広げて編集するために)

10-情報群を意味単位に分節して編集する
 06編定(codify)‥‥契約・法典・条例・史書などをつくる
 07要約(digest)‥キーノート、縮小する、詩歌にする、文意保存する
 08凝縮(condensation)‥意味の濃縮、概念化、命名、論理化する

11-情報群のモデル化が進むように編集する
 09原型(metamatrix)‥アーキタイプやプロトタイプを発見する
 10模型(model)‥モデル化、種類別にタイポロジーをつくる

12-情報の多様性がオーダーやルールを生むように編集する
 11列挙(enumerate)‥同類を見出す、つらね、尽くし、言い尽くす
 12順番(address)‥番号付けをする、ノンブルをつける
 13規則(order)‥秩序を与える、ルールをつくる、ルールを変更する

13-入れ替えや置き換えを試みて編集する
 14配置(arrangement)‥配当・案配・バランスを配慮する
 15交換(change)‥入換えをする、価値転換をおこす、アナグラム

14-ある情報が他の情報とどういう関係にあるかを重視して編集する
 16比較(comparison)‥情報を相対化する、特徴を比較する
 17適合(suit)‥あてはめる、パターンマッチング、あわせ、かさね
 18競合(conflict)‥左右性や対立性に注目する、反転をおこす、きそい
 19共鳴(resonance)‥同調、引きこみ、同義語をネットワーク化する

15-二つ以上の情報の関係を繋げつつ広げながら編集する
 20結合(combination)‥ユニオンにする、オムニバスにする
 21比喩(metaphor)‥メタファー、形容、見立て、譬え話
 22推理(reason)‥推論する、理由づける、先に進む、回路性をもつ

16-広がった情報を俯瞰して新たな線引きをするように編集する
 23境界(confine)‥二分する、多分する、かぎる、ゾーニング
 24地図(map)‥地図化、アドレスを与える、
 25図解(illustration)‥図示化・図説化をする、挿絵をつける

17-いったん編集された情報にさらに新たな情報群をよびこんで編集する
 26注釈(annotation)‥語義を深化させる、知識を適用する、訓詁
 27引用(quotation)‥いろいろ引用する、本歌取り、適用、もたれる
 28例示(example)‥例証する、事例を示す、指示する

18-隠れたアイテムや意味やイメージを連想的に拡張して編集する
 29暗示(suggestion)‥暗合、寓意、符牒、ほのめかす
 30相似(similarity)‥似たものをさがす、類似化、引き寄せる
 31擬態(mimicry)‥似せる、カムフラージュする、迷わせる
 32象徴(symbolize)‥シンボル化、代表性を際立たせる、超越化

19-情報に強調や変容がおきやすいように編集する
 33輪郭(profile)‥輪郭化、プロフィール化、カリカチュアライズ
 34強調(emphasis)‥強調する、誇張する、見出し、くどき
 35変容(deform)‥デフォルメ、変形、異型、メタモルフォーゼ

20-情報の意味が別の意味に転換するようにストレスを与えて編集する
 36歪曲(distortion)‥ねじまげる、誤解、曲解する、変節、トリック
 37不調(disagreement)‥調子が狂う、ミスマッチ、あわせない
 38諧謔(joke)‥冗談、地口、パロディ、コント、ユーモア

21-情報の周囲や外部に加飾性をもたらして編集する
 39意匠(design)‥割付、デザイン、調子をつける、形状化する
 40装飾(ornament)‥文様・衣装・地模様・図柄・飾りなどに注目する
 41模擬(simulation)‥シミュレーション、もどく、予見的模型性

22-複数の情報群を足したり引いたりして編集する
 42補加(apend)‥付け加える、補う、訂正する、添付
 43削除(delete)‥デリート、外す、除外する、放棄する

23-編集の部分的プロセスを別の編集装置に移管できるように編集する
 44保留(reserve)‥リザーブ、とっておく、保管する、控えさす
 45代行(agent)‥エージェントする、代理体験性、代行業務性

24-情報群に新たな座標やグリッドを与えて編集構造をつくる
 46測度(metric)‥測度をつくる、測定基準をつくる、判定化
 47構造(construction)‥構造化、システム化、基盤化する
 48形態(form)‥形態化、フォーミュラー化、フォーメーション
 49生態(mode)‥生きた状態の把握、モード化、動物観察

25-情報のメッセージ性に注目しつつメディアに適合させて編集する
 50焦点(focus)‥注意、焦点化する、情報を絞る、注目する
 51報道(report)‥ニュース化する、逐一性を与える、速報する
 52統御(ruleover)‥統括化、まとめる、題名をつける、シリーズ化

26-情報の流れをシナリオ化して場面単位に編集する
 53筋道(plot)‥話を小さくかためる、筋道をたてる、話に罠を設ける
 54脚本(script)‥スクリプト化、編み直す、翻案する
 55場面(scene)‥シーン化、場面を割る、舞台を設定する
 56劇化(narration)‥物語にする、作話する、役割をあてはめる

27-情報交換のしくみを遊びや競技になるように編集する
 57遊戯(play)‥遊ぶ、ゲームをする、遊化する、綺語に遊ぶ
 58競技(sports)‥スポーツ、競技化、判定付加、スコアリング

28-コミュニケーション不可能な二つ以上の文化風土をまたいで編集する
 59翻訳(translate)‥翻訳、外国語に置換する
 60通訳(interpretation)‥通訳、手話、点字訳

29-音楽性やリズム性によって編集する
 61周期(rythm)‥拍子、リズム化、音頭をとる、シンコペーション
 62曲節(melody)‥作曲、旋律化、節をつける、諧調化、歌語り

30-総合性あるいは個別性を特別にいかして編集する
 63総合(synthesize)‥以上のすべての組み合わせ
 64創造(creation)‥以上のすべての組み合わせ以外の創造

ざっと見ておわかりのように、これはめくるめく多様性である。
おそらくここには、われわれの認識・思考・連想の仕方から記憶・再生・表現の仕方にいたる大半の方法が網羅されているのではないかとおもう。ちょっとだけ前提部分の説明を加えておこう。
全体が二つのグループ、すなわち「編纂」(conpile)と「編集」(edit)になっているのは第二章にのべておいたとおりの理由によるが、この二つのグループを「データを扱う基本技法」と「カプタを扱う基本技法」と名づけているのは、編集工学では、1対1の対応型のコンパイルの対象となる情報単位を「データ」(data)とよび、解釈がいろいろありうる情報単位を「カプタ」(capta)とよんでいるということをあらわしている。
「カプタ」というのは、アメリカの心理学者のR・D・レインが提唱した概念で、「多様な解釈がともなう情報」のことである。精神治療にあたっていたレインが単なるデータ情報では人間の心は判断できないとして、データではないカプタを用いることを提唱したものだった。
では、このあとからは、この「六四編集技法」のページをときどきめくっては、細部の技法の特徴をたしかめ、その具体例を思い浮かべて力試しをしていただきたい。

編集術とは―講談社新書『知の編集術』より

 編集術とは、われわれがどのように世界にかかわるかという「方法」に目を凝らそうという、いわば「気がつかなかった方法を気づくための方法」というものである。もうすこし突っこんでいえば、世界をすべからく情報世界とみなし、その情報を「すでに編集されている部分」と「編集されにくかった部分」とに分け、その両者を串刺して通観できる方法を多少とも明示化してみようというものだ。その意味で、「そこにあるもの」から「次にあるもの」に跳ぶことをめざす連想法は編集術にとってもわかりやすい手法になっていた。
 しかし、編集術を明示化するというのは容易ではない。いちばんの問題は、いろいろな方法が重なったり、交差しているということである。また各部分をどのようにネーミングするかということも厄介である。たとえば「類推」というか「推理」というかは、いちがいにどちらがいいとは決められない。だからほんとうはただ一言で「編集」とか「エディティング」といっているのがいちばんなのだが、むろんそれではわかりにくい。そこで、いささか強引ではあっても、編集の方法というものを区分し、ある程度のところは機能や効能によって方法の特徴をあきらかにしておくことが便利になる。その機能や効能を編集工学では「編集技法」とよんでいる。
 これから一覧を提示し、そのうえで若干の説明をしておこうとおもうのは、編集技法を総覧することによって、われわれが立ち向かっている世界の情報というものが、どんなレベルとどんなアプローチで記録されうるのか、また再生されうるのか、その技法的な底辺を知ってもらいたいからである。編集術は一様に情報化されつつある今日の世界像に対する、方法の側からの挑戦でもあるわけなのだ。

64編集技法―松岡正剛著『知の編集工学』より

ともかくも編集工学的な編集方法の数々を「表」にしておいた方がわかりやすいだろうから、一覧表にしておこう。次のようになっている。各項目の説明は最小限度にとどめてある。また、ここではデザインや図解や作曲も編集の一部とみなされる。

編纂(compile)‥‥‥[data]
 収集(collect)‥種類を限定して広く集めること
 選択(sellect)‥収集された情報から一部を引き出すこと
 分類(classify)‥あるフレームにもとづいて階層的に分類すること
 流派(party)‥目的や属性に応じてグルーピングすること
 系統(taxonomy)‥系譜、系列、系統などを整えること

編集(edit)‥‥‥[capta]
A編定(codify)‥‥契約・法典・条例・史書などをつくる
 要約(digest)‥短縮・縮小する、詩歌にする、文意保存する
 凝縮(condensation)‥意味を濃縮する、概念化、命名、論理化する
 翻訳(translate)‥翻訳する、外国語化する、ヴァージョン化する
 結合(combination)‥ユニオンにする、オムニバスにする
B原型(metamatrix)‥アーキタイプを発見する
 模型(model)‥モデル化、種類別にタイポロジーをつくる
 適合(suit)‥パターン・マッチング、あわせ、かさね
 列挙(enumerate)‥つらね、尽くし、言い尽くす
 配置(arrangement)‥配当・案配・バランスを配慮する
 意匠(design)‥割付、調子をつける、形状化する
 装飾(ornament)‥文様・衣装・地模様・図柄・飾りなどに注目する
 図解(illustration)‥図示化・図説化をする、挿絵をつける
C順番(address)‥番号付けをする、ノンブルをつける
 規則(order)‥秩序を与える、ルールをつくる、ルールを変更する
 交換(change)‥入換えをする、価値転換をおこす、アナグラム
 競合(conflict)‥左右性や対立性に注目する、反転をおこす
 比較(comparison)‥情報を相対化する、特徴を比較する
 共鳴(resonance)‥同調、引きこみ、同義語をネットワーク化する
D暗示(suggestion)‥暗合、寓意、符牒、ほのめかす
 相似(similarity)‥似たものをさがす、類似化、引き寄せる
 擬態(mimicry)‥似せる、カムフラージュする、迷わせる
 象徴(symbolize)‥シンボル化、代表性を際立たせる、超越化
E比喩(metaphor)‥メタファー、形容、見立て、譬え話
 推理(reason)‥推論する、理由づける、先に進む、回路性をもつ
 引用(quotation)‥いろいろ引用する、本歌取り、適用、もたれる
 例示(example)‥例証する、事例を示す、指示する
 補償(compensation)‥補う、相補的にする、振付、添付、情報援助
F注釈(annotation)‥語義を深化させる、知識を適用する、訓詁
 付加(apend)‥付け加える、加工する、訂正する
 削除(delete)‥デリート、外す、除外する、放棄する
 拉致(remove)‥別のところへ移す、撤去する、ゲットーする
 保留(reserve)‥リザーブ、とっておく、保管する、控えさす
 代行(agent)‥エージェントする、代理体験性、代行業務性
G強調(emphasis)‥強調する、誇張する、見出し、くどき
 模擬(simulation)‥シミュレーション、もどく、予見的模型性
 測度(metric)‥測度をつくる、測定基準をつくる、判定化
 変容(deform)‥デフォルメ、変形、異型、メタモルフォーゼ
H焦点(focus)‥注意、焦点化する、情報を絞る、注目する
 報道(report)‥ニュース化する、逐一性を与える、速報する
 統御(ruleover)‥統括化、まとめる、題名をつける、シリーズ化
I境界(confine)‥かぎる、限界をつくる、地図化、ゾーニング
 場面(scene)‥シーン化、場面を割る、舞台を設定する
J周期(rythm)‥拍子、リズム化、音頭をとる、シンコペーション
 曲節(melody)‥作曲、旋律化、節をつける、諧調化、歌語り
K歪曲(distortion)‥ねじまげる、誤解、曲解する、変節、トリック
 不調(disagreement)‥調子が狂う、ミスマッチ、あわせない
 輪郭(profile)‥輪郭化、プロフィール化、カリカチュアライズ
 諧謔(joke)‥冗談、地口、パロディ、コント、ユーモア
L構造(construction)‥構造化、システム化、基盤化する
 形態(form)‥形態化、フォーミュラー化、フォーメーション
 生態(mode)‥生きた状態の把握、モード化、動物観察
M筋道(plot)‥話を小さくかためる、筋道をたてる、話に罠を設ける
 脚本(script)‥スクリプト化、編み直す、翻案する
 劇化(narration)‥物語にする、作話する、役割をあてはめる
 遊戯(play)‥遊ぶ、ゲームをする、遊化する、綺語に遊ぶ
N総合(synthesize)‥以上のすべての組み合わせ
 創造(creation)‥以上のすべての組み合わせ以外の創造

これらは一応の目安である。こんなにも編集の方法に関するアイテムがあるのだということを知ってもらえば、それでよい。

―松岡正剛著『知の編集工学』より


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