様々な制度や方法論が行き詰っている。やみくもに前に進んでいればそれなりにつじつまが合う時代は過ぎ去った。
時代は「編集」を求めている。
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☆■収集(分けると分かる) 収集・選択・分類・流派・系統 H■焦点(ニュースにする) 焦点・報道・統御
A■編定(縮めて伝える) 編定・要約・凝縮・翻訳・結合 I■境界(区切りを変える) 境界・場面
B■原型(型にして見る) 原型・模型・適合・列挙・配置・意匠・装飾・図解 J■周期(リズムをつける) 周期・曲節
C■順番(繋げて較べる) 順番・規則・交換・競合・比較・共鳴 K■諧謔(おおげさにする) 歪曲・不調・輪郭・諧謔
D■暗示(含みを持たせる) 暗示・相似・擬態・象徴 L■形態(構造を見つける) 構造・形態・生態
E■引用(盗んで補う) 比喩・推理・引用・例示・補償 M■劇化(物語で遊ぶ) 筋道・脚本・劇化・遊戯
F■注釈(付け加える) 注釈・付加・削除・拉致・保留・代行 N■綜合(みんなまとめる) 総合・創造
G■模擬(測って調べる) 模擬・測度・強調・変容 △■編集思考素

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編集術のオンパレード!―講談社新書『知の編集術』より

では、次の怖るべき一覧表を見ていただきたい。
これは編集工学研究所がつくっている「六四編集技法の一覧」というものである。合計六四にのぼる技法アイテムがずらりと並んでいる。親コードが三〇、子コードはそれぞれ二~六になっている。
ざっとこれだけ編集技法があるわけである。まことに多い。細かくすればもっと多くもなるのだが、わざと六四にとどめてある。合計が六四になっているのは「8×8」の易の八卦のようでわかりやすいからだ(ちなみに易はライプニッツが二進法を研究したきっかけになっている)。
しかし、この編集技法は、すでに何度も述べてきたように、われわれが日常生活でやっていたり、いつもお目にかかっているものばかりなのである。ところが、それが研究されてこなかった。この一覧はそれをわかりやすく分類し、いくぶん系統化してみたものだ。まずはじっくり眺めてほしい。

◎六四編集技法の一覧

編纂(compile)‥‥‥[dataを扱う基本技法]
(単立した情報に内属する定義を一項目ごとに対応づけて編集するために)

 01収集(collect)‥種類を限定して広く集めること
 02選択(sellect)‥収集された情報から一部を引き出すこと
 03分類(classify)‥あるフレームにもとづいて階層的に分類すること
 04流派(party)‥目的や属性に応じてグルーピングすること
 05系統(taxonomy)‥系譜、系列、系統などを整えること

編集(edit)‥‥‥[captaを扱う応用技法]
(つながった情報がもつ意味の背景・含意・流れを広げて編集するために)

10-情報群を意味単位に分節して編集する
 06編定(codify)‥‥契約・法典・条例・史書などをつくる
 07要約(digest)‥キーノート、縮小する、詩歌にする、文意保存する
 08凝縮(condensation)‥意味の濃縮、概念化、命名、論理化する

11-情報群のモデル化が進むように編集する
 09原型(metamatrix)‥アーキタイプやプロトタイプを発見する
 10模型(model)‥モデル化、種類別にタイポロジーをつくる

12-情報の多様性がオーダーやルールを生むように編集する
 11列挙(enumerate)‥同類を見出す、つらね、尽くし、言い尽くす
 12順番(address)‥番号付けをする、ノンブルをつける
 13規則(order)‥秩序を与える、ルールをつくる、ルールを変更する

13-入れ替えや置き換えを試みて編集する
 14配置(arrangement)‥配当・案配・バランスを配慮する
 15交換(change)‥入換えをする、価値転換をおこす、アナグラム

14-ある情報が他の情報とどういう関係にあるかを重視して編集する
 16比較(comparison)‥情報を相対化する、特徴を比較する
 17適合(suit)‥あてはめる、パターンマッチング、あわせ、かさね
 18競合(conflict)‥左右性や対立性に注目する、反転をおこす、きそい
 19共鳴(resonance)‥同調、引きこみ、同義語をネットワーク化する

15-二つ以上の情報の関係を繋げつつ広げながら編集する
 20結合(combination)‥ユニオンにする、オムニバスにする
 21比喩(metaphor)‥メタファー、形容、見立て、譬え話
 22推理(reason)‥推論する、理由づける、先に進む、回路性をもつ

16-広がった情報を俯瞰して新たな線引きをするように編集する
 23境界(confine)‥二分する、多分する、かぎる、ゾーニング
 24地図(map)‥地図化、アドレスを与える、
 25図解(illustration)‥図示化・図説化をする、挿絵をつける

17-いったん編集された情報にさらに新たな情報群をよびこんで編集する
 26注釈(annotation)‥語義を深化させる、知識を適用する、訓詁
 27引用(quotation)‥いろいろ引用する、本歌取り、適用、もたれる
 28例示(example)‥例証する、事例を示す、指示する

18-隠れたアイテムや意味やイメージを連想的に拡張して編集する
 29暗示(suggestion)‥暗合、寓意、符牒、ほのめかす
 30相似(similarity)‥似たものをさがす、類似化、引き寄せる
 31擬態(mimicry)‥似せる、カムフラージュする、迷わせる
 32象徴(symbolize)‥シンボル化、代表性を際立たせる、超越化

19-情報に強調や変容がおきやすいように編集する
 33輪郭(profile)‥輪郭化、プロフィール化、カリカチュアライズ
 34強調(emphasis)‥強調する、誇張する、見出し、くどき
 35変容(deform)‥デフォルメ、変形、異型、メタモルフォーゼ

20-情報の意味が別の意味に転換するようにストレスを与えて編集する
 36歪曲(distortion)‥ねじまげる、誤解、曲解する、変節、トリック
 37不調(disagreement)‥調子が狂う、ミスマッチ、あわせない
 38諧謔(joke)‥冗談、地口、パロディ、コント、ユーモア

21-情報の周囲や外部に加飾性をもたらして編集する
 39意匠(design)‥割付、デザイン、調子をつける、形状化する
 40装飾(ornament)‥文様・衣装・地模様・図柄・飾りなどに注目する
 41模擬(simulation)‥シミュレーション、もどく、予見的模型性

22-複数の情報群を足したり引いたりして編集する
 42補加(apend)‥付け加える、補う、訂正する、添付
 43削除(delete)‥デリート、外す、除外する、放棄する

23-編集の部分的プロセスを別の編集装置に移管できるように編集する
 44保留(reserve)‥リザーブ、とっておく、保管する、控えさす
 45代行(agent)‥エージェントする、代理体験性、代行業務性

24-情報群に新たな座標やグリッドを与えて編集構造をつくる
 46測度(metric)‥測度をつくる、測定基準をつくる、判定化
 47構造(construction)‥構造化、システム化、基盤化する
 48形態(form)‥形態化、フォーミュラー化、フォーメーション
 49生態(mode)‥生きた状態の把握、モード化、動物観察

25-情報のメッセージ性に注目しつつメディアに適合させて編集する
 50焦点(focus)‥注意、焦点化する、情報を絞る、注目する
 51報道(report)‥ニュース化する、逐一性を与える、速報する
 52統御(ruleover)‥統括化、まとめる、題名をつける、シリーズ化

26-情報の流れをシナリオ化して場面単位に編集する
 53筋道(plot)‥話を小さくかためる、筋道をたてる、話に罠を設ける
 54脚本(script)‥スクリプト化、編み直す、翻案する
 55場面(scene)‥シーン化、場面を割る、舞台を設定する
 56劇化(narration)‥物語にする、作話する、役割をあてはめる

27-情報交換のしくみを遊びや競技になるように編集する
 57遊戯(play)‥遊ぶ、ゲームをする、遊化する、綺語に遊ぶ
 58競技(sports)‥スポーツ、競技化、判定付加、スコアリング

28-コミュニケーション不可能な二つ以上の文化風土をまたいで編集する
 59翻訳(translate)‥翻訳、外国語に置換する
 60通訳(interpretation)‥通訳、手話、点字訳

29-音楽性やリズム性によって編集する
 61周期(rythm)‥拍子、リズム化、音頭をとる、シンコペーション
 62曲節(melody)‥作曲、旋律化、節をつける、諧調化、歌語り

30-総合性あるいは個別性を特別にいかして編集する
 63総合(synthesize)‥以上のすべての組み合わせ
 64創造(creation)‥以上のすべての組み合わせ以外の創造

ざっと見ておわかりのように、これはめくるめく多様性である。
おそらくここには、われわれの認識・思考・連想の仕方から記憶・再生・表現の仕方にいたる大半の方法が網羅されているのではないかとおもう。ちょっとだけ前提部分の説明を加えておこう。
全体が二つのグループ、すなわち「編纂」(conpile)と「編集」(edit)になっているのは第二章にのべておいたとおりの理由によるが、この二つのグループを「データを扱う基本技法」と「カプタを扱う基本技法」と名づけているのは、編集工学では、1対1の対応型のコンパイルの対象となる情報単位を「データ」(data)とよび、解釈がいろいろありうる情報単位を「カプタ」(capta)とよんでいるということをあらわしている。
「カプタ」というのは、アメリカの心理学者のR・D・レインが提唱した概念で、「多様な解釈がともなう情報」のことである。精神治療にあたっていたレインが単なるデータ情報では人間の心は判断できないとして、データではないカプタを用いることを提唱したものだった。
では、このあとからは、この「六四編集技法」のページをときどきめくっては、細部の技法の特徴をたしかめ、その具体例を思い浮かべて力試しをしていただきたい。

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