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Ⅰ 企業から教育の場へ-5.東京、京都、行ったり来たり

西と東、二つの大学に通い始めたのだが、同じ客員教授と言っても立命館大学(以降立命館)と多摩美術大学(以降多摩美)では随分と様子が違っていた。
もちろん経営学部と美術学部では学生の資質が違っていて当然である。立命館は、前期は学部の3・4年生150名位、後期は博士前期課程30名位。多摩美は、学部の4年生30名位が対象。規模も違う。
立命館の学生は、欠席も少なく居眠りもなく面白そうに私の話を聞いてくれた。これに対し多摩美では、最初は大勢集まったものの、そのうち出席人数も少なくなり退屈そうな顔で聞いている。いささかショックであった。
後でわかったのだが、講義が単位としてカウントされるか否かの違いがひとつ。もうひとつは、これがのちのち私にとって重要な課題になってくるのだが、講義が面白いかどうかという問題であると気づく。「Design」の大事な役割の一つに「意思を伝える」というのがある。それができていないのだ。
私には企業で長年培った経験と実績がある。がそれは過去のこと、現在はただのリタイアマンだということを思い知った。
それでも立命館の学生から見ると、一流企業の役員を経験した者の話は講談を聞くようで面白かったようだ。しかし、一日も早く一世を風靡するデザイナーになりたいと願う美大生にとって、いかに早く最新の技術を身につけるかが重要な課題だったのだろう。
その他で言えば、立命館では相部屋だが立派な客員教授用の部屋が用意され、しかも博士後期課程の助手がつき研究費が出た。多摩美はそれらが全てない。良いとか悪いとかではなく、これほど環境の違うところを一年にわたって、「行ったり来たり」したということになる。異質との出会いが新しい発見を生む。
ともあれ、面白い授業に、いやそれだけでなく役に立つ授業に、しかし役に立つ話は、とかく耳に痛くて煙たがられるものだ。やれやれ。

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