Ⅱ 教育の現場から-4.学生は「商品」である
生産デザイン学科プロダクトデザイン科・学科長となり、まず心配したことは、長年企業で培ってきたことが大学で通用するかということであった。
何しろ最初に言われたことが、「気長にやってください。企業とは違いますから…」である。どこが企業と違うのか、共通するところが果たしてあるのか、が当面知りたいところであった。
そこで企業育ちの人間が、大学という教育の場で何が出来るのかというところから検討を始めた。まず着目したのは企業も私立大学も、前者は「営利法人」、後者は「公益法人」の中の特殊法人という違いがあるものの、ともに「私法人」の中の「社団法人」に属する、ということであった。
国立大学は「公法人」に属し(当時)、私学とはかなり遠い存在であることを知る。企業と私立大学は、国立大学と私立大学よりはるかに近しい存在であることを知って勇気を得た。
企業は商品を売って利益を得、それを社会に還元することで存在が認められる。商品を作るときはまず、お客さんは誰か、というところから始める。大学ではみんな「学生は大事なお客さんである」と言う。意見が違った。
そこで、私立大学での「商品」は何かという議論に。企業での仕事が長かった私は、素直にそれは学生であると考えた。それを言ったらまわりからかなりの反発を食らった。曰く、「学生が商品だとは不遜な言い方だ」、「教育内容(カリキュラム)とかその施設こそが商品である」という具合に、である。
私としては、「良い材料を仕入れ、加工し付加価値をつけて、お客さんに喜んでもらう」という風に考えると、商品は当然学生ということになり、親御さんは「投資家(株主さん)」ということになる。
「お客さん」とは、高校や予備校、それに社会や企業である。「不良品は出さない」ことを、お客さんや株主さんにコミットしなければならない。こうした考え方は、しばらくはみんなに納得してもらえないところであった。






