Ⅱ 教育の現場から-1.21世紀元年に想う
21世紀の元年、多摩美の生産デザイン学科プロダクトデザイン科を預かり、最初に行ったのは当然のことながら現状分析である。企業で育った人間の習性であろうか。
日本の私立大学にとって21世紀は、少子化が進む中、経営的に苦難の時代であることは想像に難くない。特色の希薄な大学、あるいは特色があっても、それを世の中に訴求できない大学は淘汰されてゆく。
そういった時代にわが科が、世の中から「存在が期待される科」であり続けるためには、まずプロダクトデザイン教育がどうあればよいか、さらにどのような方向を目指すべきか、これらついて現状分析や私の30数年間の実務経験をもとに、受け手である企業側からの要望も併せ考えてみることにした。
現代における若者の一般的傾向とも言えるのが、特に個性的、創造的であるべきはずの新卒の若手デザイナーに、没個性化、均質化という気がかりな傾向が見られる。
また、「自ら考えることが出来ない(しない)」、「論理的、客観的思考の訓練が出来ていない」、さらに言えば「かたち(美)に対する感性が磨かれていない」というような心配も、受け手の企業の側からも見受けられた。
そして「デザイン」という仕事についても、昔の若者よりも遥かに知識が多いしそつなくこなすが、他の人と違う「個性」や「感性」、あるいは突出した「何か」をもった人間が少なくなってきているような気がしてならない。
着任早々の私を驚かせたのは、学生に対するヒアリングで、「先生、わたし何に向いていますか?何になればいいですか?」であった。






