Ⅱ 教育の現場から-5.現状認識と危機意識
最初にぶつかったのが科内の空気。ほとんどの人が自分の意見を積極的に言おうとしない。ひと言で言って暗かった。
大学の理念、いわゆる校風を改めて調べてみると「自由と意力」とある。私が30数年過ごしたホンダの企業風土と極めて近い。これに勇気を得て、明るく楽しく前向きにやれば道は拓ける、との確信を得た。
もう一つ、科内の認識が甘かった。ここ数年来の受験者数や倍率の激減が、少子化や不況のせいであったり、他科や他大学に比べればとか、われわれは一生懸命にやっているとの自己満足に陥っていたりで、現状認識や危機意識が、企業からきた人間から見てかなり不足しているように感じられた。
「現象を注視し、その原因を探り、原理を見出す」というプロセスがない。
まず始めたのは、自由にものを言い合える雰囲気をつくることであった。常勤の先生同志、常勤と非常勤、先生と学生、学生同志、もちろん先輩と後輩、現役と卒業生などなどである。出来ることから始めようと、会議や話し合いの場を増やし先生方の生の声を聞いた。大いに酒も呑んだ。こんなことは今までになかったことだとも言われた。
具体的には、「講評会」をワンウエイ方式からラウンドテーブル方式に改め、他の学年、他のクラスの学生が参加できるように工夫する。また「教授室」は大部屋方式をとり、研究室とも合体し、先生同志、先生と学生が常にワイワイ・ガヤガヤ自由闊達に議論できるようにもした。
そして私自身も、学生たちのコンパやパーティに積極的に参加するように心がけた。宴会は慣れっこだったが、若い連中の食べるもの飲むものには、わが胃袋はたまげていたことと思う。






