Ⅱ 教育の現場から-35.3冊目の上梓
3冊目は’05年、目標の3月21日から1ヶ月あまり遅れての刊行となった。今回は、「ホンダのデザイン戦略経営」というタイトルで日本経済新聞社からの出版。遅れた理由のひとつに、共著の難しさが挙げられる。立命館大でお世話になった教授と助手(先述の若い博士)、そして私の3人による合作というわけ。
面白いことに、上梓を計画した当時の私は60代に入ったばかり。教授は40代前半、助手は20代半ばと、それぞれに20年近く年齢が違い、しかも、美術学部、工学部、経営学部と出身や専攻を異にし、考え方も三者三様で、それぞれに個性的であった。職人肌と学者肌、直感型と分析型、年季者と新参者、等々のごとく。作業は、かならずしも順風満帆ではなかった。
原稿が揃ってからも、半年以上七転八倒の調整が続いた。が、時間が経つに連れ、世代や専門を超えてのこの作業は、ことによれば、これからのデザインに期待される、「インターデシプリナリ」なマネジメントの体系つくりができるかもしれない、という期待が湧いてきた。
芸術、工学、経済、情報、これらを繋げて、新しい価値である「魅力」をつくっていくことが、これからのデザインの役割となるだろう。デザインが「魅力価値創造学」といわれる所以もここにある。異質のものが、デザインによって繋がり結ばれ新しいものが生まれる、こうした「縁」という日本の伝統的な考え方が、これからのデザインを考えるためのキーワードとなるに違いない。
「デザイン」とは、意図し、計画し、表現すること。「マネジメント(経営)」とは、力を尽くして物事を営み、継続的・計画的に事業を遂行すること。「デザイン・マネジメント」をテーマにした本著はかくして出来上がった。そしてこの作業を通じ、自らの想いを相手に伝えることが、なんと難しく、なんと楽しいことかを実感した。
本田宗一郎をはじめ先人たちがつくり上げた「デザインオリエンテッドな企業経営のあり方」を体系立てて示すことで、モノつくりや企業経営を志す人たちに、「デザイン・マネジメント」の何たるかを伝えたい、という共通の目標が難しい共創を可能にしたのだと思う。






