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Ⅳ CIVICデザイン物語(初代シビック)          第5話.ユーティリティ・ミニマム

初代「ホンダシビック」のコンセプト(商品の性格や特徴)を固めながら、同時に、クルマとしての基本骨格(大きさや体つき)の検討に入っていた。軽乗用車・初代「ホンダライフ」のレイアウト図を前に、開発チームの主だったメンバーが集まった。
これから本格的な開発に入るにあたり、居住性レイアウトの担当者から、その基本構想の説明を受ける。先のライフの開発によって、FF(前輪駆動)の利点を生かし、どのようにすれば小さい車の居住性を劇的に良くできるかという、居住空間づくりのノウハウが確立されていた。
そこで、そのノウハウをもとにシビックのレイアウト検討を進め、まず居住性要件を、前席はアメリカ人の90パーセンタイル(身長185センチ位)、後席は50パーセンタイル(170センチ位)がゆったり座れる室内空間と定めたという。
そして、排気量が3倍位の車にするために必要な重量増加や性能向上を考慮し、ライフの居住性レイアウトをベースに、まず軽乗用車が標準としている10インチタイヤを12インチにサイズアップすることにした。
次に、前輪後端と後輪前端の間隔がライフのそれと同等となるように、ホイールベース(前後の車軸間寸法)を2インチ(約50ミリ)伸ばし、それを仮設定とする。その上で、この長さに後席足元のゆとりとして必要最低限の寸法を加算し、シビックのホイールベースを定めた。
このように車体サイズは、ぎりぎりに詰め切った寸法となる。12インチタイヤというのは決して大きいものではない。それにも拘らず、「タイヤがでかい」との評判を得たのはこんなところに秘密がある。確かに、シビックの12インチタイヤは、一回り大きいタイヤに見紛うほどに大きく見えた。
横置きFF車のトレッド(左右タイヤの間隔)は、横置きのエンジンとそれに接続したミッション(変速装置)の長さによってほぼ決まってきた。車の長さへの規制や制限は特になかったが、「車幅」については、標準的な車庫のスペース要件があるとか、また多摩地区のように1450ミリ以上は入れない場所があるなどで、とりあえず1450ミリを車幅寸法の出発点とする。
この寸法は、我々が室内幅とドアの厚みの検討から得た車幅寸法と奇しくも一致していた。全長と車幅、それにホイールベースが決まった。このようしてでき上がった基本骨格をもとに、居住空間は、「ユーティリティ・ミニマム」というコンセプトに繋がっていく。

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