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Ⅳ CIVICデザイン物語(初代シビック)          第13話.銀座4丁目

1/1レイアウト図を前に激論が続く。初代「ホンダシビック」の開発は、そろそろハード(機能)部分の細かい詰めに入っていた。とにかく、この頃ハード面で一番苦労したのは、限られた小さなスペースの中に、入れたいもの全てを如何に押し込むかということに尽きる。
この頃の車のガソリンタンクは、トランクの中に入っているのが常識であった。が、シビックでは思い切って、リアシート(後席椅子)の下に配置することにした。
リアシートを取り付けるリアフロア(後部床)には、ホイールハウス(泥除け)とサスペンション(衝撃吸収装置)とタイヤが付き、さらに後方にはトランクがある。この賑やかさは、まさしく「銀座四丁目の交差点」であった。
が、土地代がどんなに高かろうと、チームのみんなが「小さい車の衝突安全」に強く拘っていたことから、ガソリンタンクの置場所は、追突の衝撃を受けにくい後席の下以外に考えられなかった。
シビックが採用したリアサスペンションは、コイルスプリングを使った独立懸架のストラット方式で、後席の下にガソリンタンクを配置するとサスペンションにスペースを取られ、タンク容量が相当犠牲になることがレイアウト検討の過程で判明した
が、その対策で、ガソリンタンクを後方にもっていくとスペアタイヤが入らなくなり、前方にやると後席の足を置くスペースが犠牲になる。これら全てを満足させると全長が長くなってしまう。
長くしたくないとの暗黙の了解が、みんなの間ですでにあったから、居住性、トランク、ガソリンタンク、サスペンションのそれぞれの担当者が四つ巴になり、たちまち激しいスペースの取り合いになった。
「欲しいスペースは自らの手で」となると当然、受け身では駄目。誰もが専門を超えて、「エンジンとは」「サスペンションとは」などと他人の領分まで口を出した。強い信念と合理性を持たない主張は、無視され放り出されてしまう。いろんなところでぶつかりあって、その度に勉強になった。
自分の専門領域に対して、素人がいろいろ口を挟むのだから、最初はみんな嫌ったり怒ったりで議論が滞った。が、次第に、誰もムキになったり腹を立てたりはしなくなった。
異質の人、それも同じ立場の連中の、違った角度からの「なんだかんだ」の中に、新たな閃きを生むきっかけが潜んでいると気が付いたからだ。またチームプレーでは、高い共通目標をもつことが如何に大事なことであるかを学び取った。

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