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理解・企画・伝達

ビジネスマンとして20年以上現場の最前線で働いてきた。その間いつも念頭にあったのは、どういう能力があれば仕事の成果があがるのかという問いだった。大企業で労務、広報、企画という分野を主として経験してきた私の結論は、3つの能力が備わっていれば仕事はできるということだ。その3つの力とは、理解する力、企画する力、伝達する力である。

理解する力とは、上司の指示を聞き、回ってきた文書を読み、ポイントを理解する力である。企画する力とは、自分の頭で新しい考えやアイデアを生み出す力である。そして伝達する力とは、考えやアイデアを他の人に間違いなく伝える力である。
これら3つの力はコミュニケーション能力ということもできる。理解と伝達は他人とのコミュニケーションであり、企画は自分自身とのコミュニケーションである。過去の経験の教訓、読書等で培われた膨大な情報、そういうものを現在の仕事のテーマと照らし合わせながらアイデアをひねり出す作業が企画という仕事だ。そしてこの企画という力の獲得が最も難しい。
ビジネスマンとしての能力の高低は、この総体としてビジネスコミュニケーション能力とでも言うべき3つの力のそれぞれの大きさとそのバランスによって規定されてくると言ってもよい。課長は係長より、部長は課長より、3つの力が全体として大きいはずである。バランスもいいはずである。そういう視線であなたの周りを見渡して欲しい。そうなっていますか?

さて、ビジネスマンの場合、この3つの力のバランスが崩れているケースが多い。理解力8、伝達力2、企画力0、というタイプの無口な情報収集型ビジネスマン、理解力2、企画力0、伝達力8というタイプの饒舌ビジネスマンなど身の回りで上司や同僚の顔を思い浮かべるのは難しいことではないはずだ。昇進というものは、本来この3つの力の大きさと、そのバランスのよさで決まるものであるべきだと思うがいかがであろう。
初等中等教育の目的は、「読み、考え、書く」力をつけるということである。考えてみれば仕事やビジネスの場合と同じことだ。読むのは理解だし、考えるのは企画だし、書くのは伝達と同じ意味だ。また学問の世界では、同じことを難しく言うという業界常識があり、「認識、創造、表現」という言い方をしているようだ。これも理解、企画、伝達と同じことではないか。

要するに私たちは、小学校入学以来、人生を終えるまで一貫して、理解力・企画力・伝達力というコミュニケーション能力を磨いているということになるのである。
そしてそのコミュニケーションの方法は主として「文章」ということになっている。この連載を通じての私の提案は、図解という優れたコミュニケーション手段を併せて使って、ビジネスコミュニケーション能力を鍛えようということだ。
プレゼンの達人とは、ここでいう理解力と企画力に支えられて、優れた伝達力を発揮しているグレートコミュニケーターのことである。
それぞれの仕事やビジネスに特有の知識やしきたりは、このような基本的な能力があれば、その時々に必要に応じて集中的に吸収すればいいのである。転勤、異動、昇進という数年単位の節目を難なく乗り切っている仕事師は、実はこういうタイプが多いのである。

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