第4夜 SILENCE
落日の天使
力なく横たわる兵士の体にけつまずいた時
さっきまで、僕の頭があったあたりを銃弾がかすめていった。
髪の毛が一房飛ばされる
体の芯が重く、何も感じなくなっている。
次はボクの番かもしれない
ここから逃げ出さなきゃ
でもどこに
どうしてボクはここにいるのだろう。
去年の今ごろは、ダンスパーティーに誰を誘うかで
頭を悩ましていたのに
泥だらけになって、この世の地獄を這いずり回っている
どこかに被弾したみたいだ
もう歩けない
目を閉じるとき、目の前にオレンジ色の太陽が沈むのが見えた。
ボクは、ずっと眺めていた
白い灰が音も無く降り積もって行くのを。
力無くうなだれる、年老いた天使たちの肩越しに
落日の砂漠で
| *note* BGM Silence / dip in the pool | |
Silenceというタイトル通り、静謐な印象を受ける美しい曲。
木村達司のつくるトラックは、どこまでも美しく、
すべてのものを漂泊してしまう、それだけで完成された世界。
でも閉じられたイメージも無機質な印象も受けません。
音数は少ないのに豊穣。
広がりのあるとてもリッチな音世界なのに、
時に無音のような印象を受けるでしょう。
足し算ではなくて、引き算でつくられた世界
音の壁をつくり、いろんな色を塗りこめて行くのではなく
墨一色で万華鏡のような世界を創り上げる水墨画のように
モノクロームの写真が何よりも豊かなイメージをかきたてるように
17文字に世界を封じ込める俳句のように
音が鳴っていない瞬間をいかに大切にするか
音楽は音のないところから響いてきます
雪が積もり、すべての音が吸収されてしまった朝の景色。
世の中の醜いもの汚いものも雪に覆い尽くされ、
その一面の白い世界に立ち尽くすとき、
自分の中のノイズや歪みや澱みが溶けていき、
少しだけ透明になれた気がします。
dip in the poolの音楽は、前夜から積もった早朝の雪。
凛とはりつめた空気。
眠るときにヘッドフォンで聞いていると、天使が舞い降りてきます。
いや、あなた自身が天使となり、時空の彼方に飛んでいくでしょう。
神無き時代の賛美歌・・・・・・
*1986年発売のアルバム dip in the poolに収録
1. Rabo del sol 2.Facing the sea 3.はすのえにし
4.Sur le pois 5.Silence 6.ひなまり 7.View
8.AGAIN 9.spring from the surface 10.Dormir
*dip in the pool
甲田益也子と木村達司による男女ユニット。1983年結成。
1985年「dip in the pool」(マキシシングル)で国内デビュー。
「Silence」(アルバム)で英国ラフ・トレードよりヨーロッパデビュー
木村がプログラミングと作曲・編曲担当、
甲田益也子が主に作詞とVocalを担当
*甲田益也子
甲田益也子さんは資生堂のPR誌「花椿」表紙モデルに応募し、デビュー。
1982年から1984年まで雑誌ananの専属モデルをつとめた。
その頃ピンクハウスがブレイクした。
89年周防正行監督作品「ファンシーダンス」で映画初出演。
99年に手塚眞監督作品「白痴」に出演。








